「ダムめぐり」の楽しさは立入禁止の柵の外にある

ザ・ダム [DVD]

ザ・ダム [DVD]

Amazonで頼んでおいたダムサイトの萩原さん監修のダムめぐりDVDの「ザ・ダム」が届いて早速見たところでレビュー。


これは「ダム」のDVDではなくて「ダムめぐり」のDVDなのだと思う。確かに矢木沢ダム奈良俣ダムの放流映像や矢木沢ダム直下のダムと発電所を正面に据えた映像(これは本当にすごい、もうちょっとバルブとかを長く見せてくれーという点はあるが)はダムマニア的になかなかな物があると思うのだけど、やはりこの作品の主役はダムめぐりをする萩原さんだろう。
この作品の中で萩原さんは、ダムの形について語ってみたり、持っている知識の中から構造物の役割について読み取ってみたり、ダムの高さにくらくらしてみたり、それとなくテロリズムなことを口走ってみたり、夕方になるとダレてきたりする。それはダムを趣味にしてきた人ならば、おそらく誰もが知らず知らずのうちにやったり経験してきたことであり、そんなありのままのダムめぐりの楽しさをよく撮れてるなぁという感じを受けた。
そう、ダムの楽しさというのは何も放流や監査廊やキャットウォークだけにあるのではない。たとえ直下にいけなくたって、ダムには人をひきつけるものがあり、人に語らせるものがあるのだ。ライナーノーツの中で萩原さんは、DVDについて「こんなはずじゃなかった」と記している。だが、逆に普通の場所から見える普通のダムの映像と普通のダムめぐりをする様子を淡々と記録した映像だからこそ、逆にダムの面白さが伝わってくるのように思えるのだ。
だからこそ、このDVDを見て面白いと思った人は次の休みにダムを訪ねに行くべきだ。この作品の舞台になってる奥利根だと自動車がないとつらいかも知れない。だが、日本にダムは3000近くある。交通の便が良いダムだって探せば割とあるだろう。きっと今までのダム感を覆す体験を出来るに違いない。