ダムオタが非オタの彼女にダム世界を軽く紹介するための10基
まあ、どのくらいの数のダムオタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、「オタではまったくないんだが、しかし自分のオタ趣味を肯定的に黙認してくれて、 その上で全く知らないダムの世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」ような、ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、ダムのことを紹介するために見せるべき10基を選んでみたいのだけれど。(要は「脱ダム宣言」の正反対版だな。彼女にダム建設の重要性を布教するのではなく相互のコミュニケーションの入口として)
あくまで「入口」なので、時間的に過大な負担を伴う秘境ダムは避けたい。できれば関東、遠くても中部・甲信越辺りにあるダムにとどめたい。
あと、いくらダム的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。映画好きが『カリガリ博士』は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。そういう感じ。
彼女の設定は
ダム知識はいわゆる「ダムの環境への影響」的なものを除けば、真夏に利根川上流のダムの貯水率が気になる程度
サブカル度も低いが、頭はけっこう良い
という条件で。
まずは俺的に。出した順番は実質的には意味がない。
黒部ダム(関西電力/富山県)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/Dambinran/binran/All/All_0848.html
まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「黒部川電源開発」を濃縮しきっていて、「観光地としての北アルプス」を決定づけたという点では外せないんだよなあ。高さも日本一だし。
ただ、ここでオタトーク全開にしてしまうと、彼女との関係が崩れるかも。
この情報過多な作品について、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に伝えられるかということは、オタ側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。宮ヶ瀬ダム(国土交通省/神奈川県)、浦山ダム(水資源機構/埼玉県)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/Dambinran/binran/All/All_0703.html
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/Dambinran/binran/All/All_0642.htmlアレって典型的な「オタクが考える一般人に受け入れられそうなダム(そうオタクが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのものという意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないのかな。
「ダムオタとしてはこの二つは“地域に開かれたダム”としていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。奈良俣ダム(水資源機構/群馬県)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/Dambinran/binran/All/All_0623.html
ある種のダムオタが持ってる堤体の白さへの憧憬と、水質保全の為にエンジン付きボートを入れさせないこだわりを彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにも公的機関的な
- 「一大観光地の中にあるダムという立場への配慮」を体現する年に1度の試験放流
の二点をはじめとして、オタ好きのする要素を世界にちりばめているのが、紹介してみたい理由。
村山ダム(東京都水道局/東京都)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/Dambinran/binran/All/All_0690.html
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/Dambinran/binran/All/All_3323.html
たぶんこれを見た彼女は「多摩湖だよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。この鉄道会社肝いりで行われるダム湖観光という形がその後続いていないこと、これを歌い込んだ志村けんの「東村山音頭」が大人気になったこと、他のダムもダム湖名を全面に出して、それが定着して有名になってもおかしくはなさそうなのに、大体はイタい結果に終わってること、なんかを非オタ彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。
八汐ダム(東京電力/栃木県)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/Dambinran/binran/All/All_0582.html
「やっぱりダムは発電のためのものだよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「高瀬ダム」でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、このダムにかける東京電力の思いが好きだから。断腸の思いで稼働したものの1日あたり7万6,000立方メートルもの漏水をひた隠し、っていう尺が、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、その「動かす」ということへの諦めきれなさがいかにも株式会社的だなあと思えてしまうから。
隠し続けたことはしょうがないとは思わないし、もう隠せないだろうとは思うけれど、一方でこれが国交省や機構だったらきっちり対策してしまうだろうとも思う。
なのに、各所にバレぬよう発電所を稼働させてしまう、というあたり、どうしても「ダムマニアの前に駄目社会人」としては、たとえ東電がそういうキャラでなかったとしても、親近感を禁じ得ない。アスファルトフェイシングフィルダムとしては世界一の高さと言う事と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。
丸沼ダム(東京電力/群馬県)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/Dambinran/binran/All/All_0595.html
今の若年層でバッドレスダムの建設現場を見たことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。戦前の段階で、寒冷地対策哲学とか形式による材料費低減技法とかはこのダムで頂点に達していたとも言えて、こういうクオリティのダムが発電用ダムでこの時代につくられていたんだよ、というのは、別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなくダム好きとしては不思議に誇らしいし、いわゆる重力式でしかダムを知らない彼女には見せてあげたいなと思う。玄倉ダム(神奈川県/神奈川県)
玄倉川水難事故 - Wikipedia
「堰堤高15m以上というダムの定義」あるいは「治水機能の有無」をオタとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。
「マスコミによる終わらないダム批判」的な感覚がオタには共通してあるのかなということを感じていて、だからこそ全国版『森と湖に親しむつどい2008』は近畿地整以外ではあり得なかったとも思う。
「穴あきダム化した日常を生きる」という行政の感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「治水にシフトした気分」の源は玄倉ダムにあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。四万川ダム(群馬県/群馬県)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/Dambinran/binran/All/All_0626.html
これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。
こういう景観への配慮をこういう義岩という形でデザイン化して、それが非オタに受け入れられるか気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。徳山ダム(水資源機構/岐阜県)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/Dambinran/binran/All/All_1130.html
9基まではあっさり決まったんだけど10基目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的に徳山を選んだ。黒部から始まって徳山で終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、多目的ダム建設ブーム以降の日本の長期化ダム事業の代表格となったダムでもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい作品がありそうな気もする。
というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10基目はこんなのどうよ、というのがあったら教えてください。
「駄目だこいつは。俺がちゃんとしたリストを作ってやる」というのは大歓迎。
こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい。
元ネタは言わずと知れた、アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本から。
以前からやってみたいと思ってたんですけど、いざ作り始めてみると思いのほか難しくて途中でほっぽりなげてました。でも、昨日「http://d.hatena.ne.jp/terracao/20080802/1217657208」を見て触発されて、これはやらねばと書き上げたという感じ。基準は首都圏からまあなんとか行ける場所ということで、西の方とか北の方切り捨てですがごめんなさい。っていうか僕のいままでの行動範囲からなんとか絞り出した知識で書いてます(もっとちゃんとダムめぐりしないとなぁ)。元の文章に合わせるために適当な事書いてる場所も有るのでそのあたりも気をつけて。