高速道路フォントと歌舞伎文字

高速道路の看板には一般道のそれと違って独特な文字のフォントが使用されている。運転中にしか目にしないのであんまりじっくり見る機会は無いのだが、それでも意識してみて見ていたらなんとなくクセみたいなのが見えてきた。おそらく高速走行する車両からの視認性を高める為だろう。1文字1文字の文字の領域をなるべく使い切ろうという意図を感じるのだ。なるべく文字を大きく、隙間が出来ないようにと、へっこんでいるところをのばしてみたり、曲線部分をならして直線にしてみたり。
で、あれこれ見ているうちに、この文字って歌舞伎文字とか寄席文字っぽくない?と、ふと思ったのだ。歌舞伎文字はげんを担ぐ為になるべく隙間を作らないように書く。線自体が極太なのだが、それでいてちゃんと読めるようにする為に文字自体も普通の楷書に比べれば歪んだ形になっている。高速道路フォントと同じような力が働いて結果的に方向性が一致してしまったように思えるのだ。で、まあ、ここで実際に勘亭流フォントを使用して高速道路フォントを削りだしてみたい所だけど、いま手元に勘亭流のフォントが無いので言うだけにとどめておく。ただ、逆の発想でアクアラインあたりの不採算路線な高速道路について利用率向上を願って看板の文字を毛筆にして太らせたら…って駄目ですね。ええ。