“「ウェブ時代をゆく」欲しい!”

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

「ウェブ時代をこう生きてみたい」というテーマで書くと当選確率が上がるということで取り留めないことを思いついた順につらつら書いてみる。
1999年くらいにウェブ上に趣味のダムの情報が掲載されはじめて以来、日本中3000近い数のダムのうち結構な割合のダムが「ダムマニア」によって調べられ写真を撮られて説明が付けられて各々の「ホームページ」のコンテンツとしてネット上にアップされ続けてきた。それ以前にまとめられた情報が「財団法人日本ダム協会」の出版する「ダム年鑑」の文字の情報だけだったことから考えると、これはすごいことだと思う。こんな小さなダムの情報まで載ってるってひょっとしたら保安上の観点から行って問題なんじゃないかとかちょっと思うことも無いわけじゃないが、それを言い出すと自分で自分の首を絞めるような気がするので気付かないふりをしとく。
ダムにはまった人が(たぶん)思うことに「なんでみんなこの構造物を見ようとしないんだろう」っていうことなんじゃないかと思うが、この気持ちをすくい上げて増幅してフィードバックさせる装置として「ウェブ」というものが果たした役割は大きいと思うのだ。2003年くらいまでに結構な数のダムのサイトが造られてきたみたいだけど、「ホームページ」をつくるということで「ダムマニア」自身もどういう風にまとめていったらいいかということを認識してきたし、外部のマクロ的な視点として「ダムマニア」が形作られてきたとも言えるんじゃないかと思う(ちなみに僕はさぼりっぱなしだったので、あー凄いなーとか思ってただけでした)。
そして、この流れが加速してきてびっくりするようなことになっているのがここ数年だと思う。たとえば「ダムカード」なんていうある意味「ネタ」なことを国土交通省がやったというのはある意味「ダムマニア」の存在を国土交通省が実感として感じることができてそこに信頼を寄せることができたからじゃないか、と思うのだ。
信頼といえば、日本ダム協会もそう。ダム便覧をはじめとするコンテンツの作り方はやっぱりウェブに対しての期待と信頼があって成り立っているのだと思う。実際、ダム便覧の説明文を見ると

詳しい説明
作成にあたっての指針
・利用されることが大事
 ユーザーにとって有益で便利なサイトであることを目指します。ページを作成することで足りるのではなく、ページが多くのユーザーに利用されることが大事です。
・冗長性の排除
 常に簡潔な表現に努め、冗長性を排除します。ネット上には情報があふれており、いずれどこかでその情報は見つかるかもしれませんが、わかりやすい簡潔な形でまとめられていることに価値があります。
・ユーザーとの連携
 出来る限りユーザーの要望に応え、またユーザーに支援・協力を求めるなど、ユーザーとの連携に努めます。
・正確性に過度にこだわらない
 情報の正確性は重要ですが、膨大さのために誤りを含んでしまうことは避けられません。誤りを過度に恐れる余り、役に立つ情報の公開に消極的になり、結果として利便性を損なうことのないよう、心がけます。
・効率性への配慮
 投入可能な人的・金銭的資源には自ずから限界があり、諸々の制約の中で効率的なサイト運営を目指します。手間を省き、省力化を実現することは、大きな課題です。

なんかWeb2.0的じゃないですか。少なくとも「役所の仕事」じゃない。まず、自団体の売り物の「ダム年鑑」のコンテンツをネット上に掲載して、その上躊躇なく個人のWebサイトにリンクしたり、拙作DamMapsのデータ利用や公開の許可やらリンクやら、本当にすごいと思ったよ。
実際、ダム関係者の方にもこの流れを感じ取っている方はいらっしゃるようで、ダム便覧に掲載されているhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/Dambinran/binran/TPage/TPNet.htmlという電力土木界の重責を担われている方の記事があるのだが、問題意識しっかり持って真正面から取り組もうとしていることが読み取れる(時期的には「ウェブ進化論」をご覧になった上でのこの記事なのかもしれないけど)。
で、なんだということなんだけど、そんな結論めいたもの何にも考えてなくていま困っているんだが、「ウェブ」が有ったことでこんな思いもよらないことが起きたというのが、なんだか面白いのだ。「ダムマニア」というものがネットを中心として広がっていてそれが今後も続いていくことで、当事者的にはそれほど変な方向ではなく、もっと変なこと・面白いことが起きるんじゃないか、みたいなことなんとなく最近考えている。6年前にはブログもFlickrYouTubeも無くて、自前でHTMLをごりごり書いている中でここまでのことが起きた。それが今、機材は安くて高性能で、公開する手段もたくさんあって簡単で、なにか起きない方が不思議じゃないですか。
なんて、これ書いてて思い出した全然関係ない話だけど、DamMaps作った後に日本ダム協会の方から「ダム便覧でもこんな風にダムを地図上に表示させたかったが、コスト的に無理だったのであきらめた」という話を聞いたことがある。GoogleGoogle Maps APIなんてものを無料で提供したことで、今まで無理だったことが可能になったのだ。まあこれは金銭的な制約だけど他にもいろんな制約があってシステム化・データ化されてないものってたくさんあって、そういうものの敷居を下げる方向にネットの力が働いてるっていうのは間違いなくあるよなー、とか思った。道の駅とか24時間営業のネットカフェとかあの辺の位置情報を含むデータがどさっと出てくると国内安旅行のインフラになるよなって思ったことあるが、押し下げることが意味を変えたり見方を変えたりすることにきっとつながるんだろうな。