ダムな本も紹介しておこう

ちょっと前(ちょうどダム祭@ロフトプラスワンのときだ)に紀伊国屋の書棚に並んでたので買って読んだら良かったものの、Amazonの取り扱いが始まらなかったのでなかなか書けなかった紹介記事を書いてみる。

にっぽんダム物語

にっぽんダム物語

一般向けに書かれた読み物的なダムの本といえば、竹林征三氏の著された「ダムのはなし」と「続 ダムのはなし (はなしシリーズ)」が代表的だった(と勝手に思ってますが)のですが、どちらもどなんと言うかオルタナティブな感じといえばいいのでしょうか。著者のダムにかける並々ならぬ情熱が伝わってくる本では有るんですけど、なにもそこまでみたいなところがあって(例えば、人生の儀式(入学式とか結婚式とか)とダム建設の儀式(定礎式とか)を並べてみた表がいきなり出てきたりして少々面食らう)、面白いんだけどダムめぐりの入門書としては過剰すぎる部分とちょっと物足らない部分があるなぁ(って、そもそもそんな用途で書かれた本じゃないと思いますが)という感じを持っていました。
で、このにっぽんダム物語ですが、3部構成になっていて、1部でははるか昔の溜池の時代から現代に至るまで、時代ごとにどんな社会の要請があってどんなダムが作られてきたかという事が分かりやすくまとめられています。2部ではダム建設に伴い発生したいろいろな問題が、3部ではダム(とダム技術者)がこれから果たすべき役割というのを提言しています。全体を通して落ち着いた平易な言葉で簡潔にまとめられていて、非常に分かりやすいです。特に1部のダムの歴史はダムめぐりする上でこれを頭に入れておくと楽しみが増すんじゃないかなぁ、という感じがします。たぶん、誰かと一緒にダムめぐりに言ったときに語れるようになります。なってどうするとか言わないように。
あとは、工学的な視点で書かれたダムの啓蒙書が出てくれば(ダムの形式とかゲートの形式とかそういったものをいろいろな視点から分かりやすく解説した、ダムめぐりの時に持ち歩けるサイズの本がいいな)もう、なにも言う事ないですけど、さすがにそこまでダムマニア人口は高くないか…。