首都高中央環状新宿線の工事現場に行ってきた

東京ジオサイトプロジェクトで存在を知った、ぴろり、さんという方の主催する社会科見学コミュニティ「社会科見学に行こう!」で募集していた首都高速中央環状新宿線の工事現場見学会に参加させていただきました。というわけで、その模様を書いてみます。

集合場所の東中野駅で参加者が集まったところで、まず説明を受けるためにプレハブの会議室に入ります。JR東中野駅西口前で行われているこの工事、正式名は「JR中央線東中野駅付近桜川橋改築・首都高交差部建設工事」というのだそうで、

といった工事を平行して行うのだそうです。しかも、山手通りやJR中央線といった既存のインフラになるべく影響を与えずに限られた工期の中で全ての工事を行うということで、あっちを掘ってこっちを埋めて・・・といったことを同時並行的に行うそうなんですが、あまりにいろいろな事をやるので一通り説明を聞いてはみたもののいまいち訳が分からない・・・。頭の上にクエッションマークを浮かべたまま配られたヘルメットと反射材と軍手を装着して現場へと向かいます。

東中野駅まえの交差点をわたり、まずはエレメントの到達立坑側を見学します。いきなり目の前に現れた立坑にくらくら。28mあるそうですが、何でもないところに開いている深い穴というのは、隙をつかれたみたいでちょっとはっとさせられます。ちなみに地下鉄大江戸線はこの5m下くらいの所を通っているとの事。改めて深いところ通ってるんだなぁと感心します。

で、この立坑のすぐとなりはJR中央線が走ってます。まさか窓の向こうが断崖絶壁だとは思うまい。

この工事一番のポイントがHEP&JES工法という物で、この写真に写っているのがその工法で用いるエレメントボックスとそれを引っ張る為のジャッキです。総武線と大江戸線の間を影響を与えずに首都高を通す為に、このエレメントボックスで外枠をつくりその中を掘り進めるそうなんですが、重要なポイントになるのがこのジャッキ。先にワイヤーを通しておき、それでエレメントを引っ張る事によってエレメントを貫通させる事ができるのだそうです。(これがHEP工法。従来の工法では押し出していたのだとか)また、エレメントの先端には掘削装置が付いており、そこで書き出した土砂はエレメントの内部にあるベルトコンベアで運ばれて外に出されるようになっているそうで、この一連のプロセスは自動的に行われるそうです。

対岸にわたり今度は発進立坑側。通常のエレメントの工事は終わっているのですが、最後に組み立てる調整エレメントの工事をしてました。ちなみにこのエレメント、貫通後にコンクリートを流し込む事によってそのまま構造物の一部になります。つまり掘ってからあれこれしなくてもいいわけで、こういったことがこの工法のメリットなのだそうです。

山の手通りを渡ってまた駅側へ。ここでは、駅前広場の整備が行われています。すでに橋桁がかけられています。中央の鉄筋がニョキっとでている筋を隔てて左側が車道、右側が歩道として設計されているそうで、橋の端は橋脚からはみ出しているとのこと。

以上が今回の見学ポイントで、最初の会議室に戻ってきて、ヘルメットと反射材を回収します。ちょっと名残惜しい。
工事は繊細に行われているそうで、上を通る中央線や下の大江戸線内に計測装置をもうけて工事中は常に監視し、もし6mm以上変動があった場合その手当を行うそうです。このメートル単位の構造物をミリ単位で制御する土木の感覚には毎回クラクラします。あと、物を作るためのプロセスの用意周到さにも感心させられました。頂いたパンフレットに掲載されている施工の手順をたどっていくと、その1手順1手順がパズルの様に複雑に組み合わさっていて、よくこんな事を考えるひとが居るよなぁと感心させられます。
今回のこの現場、歩道橋からのぞくことができるので東中野駅を利用されるかたは毎日工事の進捗状況をみることができますね(ただ、トンネルの掘削にあわせて桜川橋の橋脚の工事もはじまるためふたがされてしまうみたいですが)。その辺にある工事現場も意識して見るとまた違って見えるような気がします。渋滞は嫌だけど。